22.12.14

Un retour à l'origine - 原点に

以下の記事は
マチロンをオープンする前、
ちょうど今から1年前に書かれた記事の転載です。

最近久しぶりに自分で読んで
原点の気持ちを改めて思い出しました。

大切な部分はブレずに、
より良く広げて行きたいと思った
朔旦冬至の朝。

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以前カフェをはじめた時

プロの料理人ではない私のコンセプトは

「家族で食べたい料理と、友達と楽しみたいおつまみ」

でした。

シンプルに「料理」と言う事だけ考えていうならば、

自分が作った料理やおやつを、お客様がお金を払って食べる。

その形に慣れるのは簡単な事ではありませんでした。

料理をすることが「仕事」の一部になり

料理を作る事そのものの本質が見えなくなってしまっていた時期が

あったように思います。


自然界からやって来た美しい材料に感謝をして、

食べる人の事を思って心をこめて料理をする。


気持ちが伝わって、

食べる人が喜んでくれると

その場が明るくなっていろんなお話が生まれて

新しい空気が生まれて、新しい人のつながりが生まれる。


お酒もそうですが、間に料理があることによって

空気が温かくなったり

親密になったり

そういった温かい変化のようなものが好きでした。

料理に自信が無くても、カフェを続けることができたのは

そういった人の温かさを感じる事ができたからだと思います。


何度も、言い訳のように言うのですが

私はきちんと修行をしたプロの料理人ではありません。

シンプルな物しか作れません。

味がブレる事もあるし、そもそも料理が仕事の一部になってしまうことに

自分が耐えられなかった。

じゃあ、なぜ料理をつくるのか?


料理を含んだ全ての空気が居心地よくなって

誰かを楽しく笑顔にする瞬間が好きだからだと思います。


お店を閉めて、しばらくは料理を作る事ができませんでした。

料理は自分の状態が全部投影される鏡のような物だと感じていて

同じ料理を同じレシピで作っても

自分の気持ちが100%でないと

全然丁寧じゃなかったり、優しくなかったり、

仕上がりに満足しなかったりします。

自分の状態が映し出される料理を作り出すという

心の準備がなかなかできなくて、時間を要しました。


少しずつだけれど、誰かのために料理を作って

やっぱり喜んでくれたら嬉しかったりして

最近では、1年以上作っていなかった料理も

作ってみるようになりました。

機械的に、義務感に駆られて作っていたときと違い

最初にこのメニューをお店に出そうと決めた時の

丁寧な気持ちを思い出す事ができました。


ひとつひとつの手順を丁寧にこなしていくと

素材もちゃんと応えてくれて美しい姿を見せてくれます。

たとえば

カフェで使っていた卵と、近くのスーパーで買うことができる卵では

大きさや濃さ・白身と黄身のバランスも全く違うので

レシピ通りにつくっても同じ物はできません。それを、

大げさにいえば

卵とお話しながら一緒に作り上げていくような感じです。

なんて愛らしくキレイに焼けてくれたの!と嬉しくなるんです。


正直なところ、お店を閉めたらみんなすぐに忘れてしまって

ひとりぼっちになるだろう、と思っていました。

けれどお店を閉めて1年近く経った今でも

マキちゃんのキッシュが食べたい、とかカレーが食べたい、とか

言ってくださる方がいるのが、本当に嬉しいです。


 近い将来、またお客様のために料理を作れるようになれたらいいな、

と思っています。

けれどそれはおそらく

料理人としてではなく

居心地の良い空間を作るひとつの要素として料理がある、

といったようなかたちになるんじゃないかな、

と考えています。

やはりコンセプトは揺るぎなく、

「家族で食べたい料理と、友達と楽しみたいおつまみ」

です。家族でお迎えしたお客様と食卓を楽しむような

そういう空間がいつかつくれたらいいなと思います。

といいつつ、現時点で決まっている事は何もありません。



今実行している事は

「呼ばれたら可能な限り駆けつけて、楽しくする」という抽象的なこと。

呼んでください。



最近、料理をするのがとても楽しくなってきました。




machiron

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